機動戦士ガンダムUC 1巻

初っ端から大虐殺! 福井晴敏のディザスター描写はやっぱスゲェ。 「ラプラスの箱」はしばらく単なるマクガフィンのままになるんだろうが、UC元年に原因があった、ってあたりで陰謀モノとしてのスケールを確保しているのもやはり上手い。 あと、やはり富野監…

Batman: Arkham Asylum

マボロシの日本版をお借りしまして。 いやー、これもうコミックじゃないわ。なるほど、グラフィック・ノベルとはよくいったもの。濃厚な「絵」の力が、大したストーリーのないこの本のテーマを、読む者にまざまざと見せ付けてくれる。 バットマン=アーカム…

ロン先生の虫眼鏡

俺内光瀬龍ブーム到来につき読了。なるほどー、石上三登志のエッセイで光瀬龍と山田風太郎を日本的「死」志向の作家として並立して論じていたが、いまならわかる。つまり、医学を学び、戦中戦後を生きることで、人間を「そーゆーモノ」として扱うようになっ…

スパイキャッチャー

読了。ひたすらに「リアル」なスパイ組織の内幕。後半はMI5元長官ロジャー・ホリスのKGB内通疑惑がすべての活動に重苦しくのしかかり、しかもこの疑惑は晴れないまま終わるため、非常に読後感がよろしくない。ラスト近くでは、著者が自分の年金をフイにした…

スパイキャッチャー

5分の4くらいまで。これは面白い!!! 電波技術の専門家としてMI5に入った著者が、現場をこなすにつれ組織を動かす立場になり、終わりのほうになると完全に防諜組織の要人として振舞ってる。 筆者はMI5、MI6ともにはびこる情実人事に翻弄され、しかもこの本…

闇の奥へ

ようやっと読了。ただでさえブ厚い上に上下巻、しかも内容はノンストップでスリルとサスペンスのつるべ打ち、と来た日には、読み終わってぐったりもしようというもの。 クレイグ・トーマスは久々だが、これはまごうことなき傑作。ミステリ的なツイストはない…

ゴールデン・フリース

読了。ユニクロの話ではなかった(あたりまえ)。 うーん、これって長篇ではないな。せいぜい中篇。以 下 ネ タ バ レ ・ ・ ・ ・ ・ ・結局出てこない宇宙人、ほとんど意味ない幼年期の記憶に、まったく意味ないコピー人格とか、ガジェットとしてはまぁま…

Op.ローズダスト

ドライブがついた勢いのまま読了。 なんですか、これ。子犬と称してカツレツキッカがアムロを脱出させてますけど。んでアムロが「僕には帰れるところがあるんだララァこんなに嬉しいことは云々」みたいなこと思って終わっちゃうんですけど。 前言撤回、やっ…

Op.ローズダスト

下巻の中盤まで。 小説としてのバランスの悪さと、繰り返される「新しい言葉」というフレーズのクドさ、絶望→復活→絶望→…のループに人間的成長が伴わない歯がゆさ、主人公不在で進む作戦描写の居心地の悪さなど、いままでの長編では見られない構成の粗が気に…

Op.ローズダスト

下巻突入。回想の多い小説だ…。いまんとこ、『亡国のイージス』『終戦のローレライ』より、緊密度で落ちる印象。やっぱ週刊誌連載だったからか? 本人が思っている以上に、福井晴敏って推理作家の面が強いと思う。

Op.ローズダスト

上巻の5分の4くらいまで。 やっぱ福井晴敏のディザスター描写は絶品だな! ほんと、モノをぶっ壊すことに関して、これほどカタルシスを感じさせてくれる作家も珍しい。まんまハリウッド調のカーチェイスシーンにしろ、舞台が良く見知った風景で、その崩壊…

美学vs実利「チーム久夛良木」対任天堂の総力戦15年史

けっこう前に読んでたのを感想UPし忘れてた。 希代のビジョナリストにして根っからのエンジニア、久夛良木健の栄光と挫折の一代記。特に、プレステ側から描かれるサターンvsプレイステーションの発売寸前での暗闘は、まだ俺なんかには記憶に新しいところで、…

さよなら、サイレント・ネイビー 地下鉄に乗った同級生

日経ビジネスオンラインで連載してる博覧強記かつ支離滅裂なエッセイで気になっていた、伊東乾のデビュー作(?)。 作者の東大物理学部時代の同級生で地下鉄サリン事件の実行犯・豊田亨とオウムのマインドコントロールとを追うドキュメンタリーだが、正確を…

タイアップの歌謡史

読了。これも面白かった。 リゾート旅行や化粧品、映画にテレビに文化イベント。これら「あってもなくても構わないもの」を売り込むためのツールとして、歌謡曲は使われてきた、という切り口がまず目新しい。 そして、やっぱり「あってもなくても構わないも…

アンダーグラウンド

読了。日本人論云々はあとがきで、意図的なものであると明かされていた。 あと、物語の力を使って他人に価値観をオーバーラップすることに対して作者は警告を発しているが、正直、影響力の点で、麻原彰晃なんかより村上春樹自身のほうがよほど危険なポジショ…

アンダーグラウンド

村上春樹のアレを今ごろ。 恵比寿に通勤していた当時のことを思い出す。恵比寿にはオウムの施設があり、俺はそのすぐそばの定食屋で飯を食っていた。ひっきりなしにパトカーや救急車が通い、サイレンが鳴り響いている。誰もがテレビに釘付けだった。 店を出…

バットマン・キリングジョーク

表題作を読了。 なるほど、こいつぁ映画『ダークナイト』版ジョーカーのオリジンかも知れん。バットマン=ブルース・ウェインについてはまったく掘り下げられていないところも同様。 ムーア版ジョーカーには、明確な出自が与えられている。彼は元々売れない…

ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

うーん。これって、特定ジャンルの特定の作品の構造を分析する本、なのね。 清涼院流水を発掘してきたのは卓見だと思うし、ラノベと(腐女子ファンも多い)新本格とを結ぶ結節点としているのはいいが、なぜかこの本、ラノベと純文、ラノベとエロゲー間の接近…

コトラーの戦略的マーケティング

こないだ借りて読んだ『コトラーのマーケティング講義』がなかなか興味深かったので、体系的に書かれてるらしいこっちも。 結論(まだ読み中なのに)。 ヒラが読む本ではない。「戦略的」の「戦略」ってのは、ホントに企業の経営戦略のことなので、経営に直…

プラスマッドハウス2川尻善昭

というわけでヤマダのポイントを全額突っ込んで購入。長年川尻ファンをやってきたつもりだが、この手の研究本が出るのは初では。 感想。 ロングインタビューが面白い。基本的には知ってる話が多いが、山田風太郎へのストレートな偏愛ぷりっとか、やっぱり本…

ビジュアル学習図鑑ディスカバリー 恐竜

怪獣の資料として、近場の図書館で借り。怪獣も恐竜も一緒なのか俺。 なかなか面白いが、訳注で「現在はこの説は否定されています」とか「現在はこの恐竜の実在は否定的です」とか書かれてて、まだまだホットな学問なんだなー、と再認識。 怪獣の骨格や筋肉…

自分探しが止まらない

読了。 面白かった。このテの本を読むのは久々だが、カミさんが観てるのを横から見て不思議でならなかった「あいのり」論とか、まさに「そうそう、これが読みたかったんだ!」という感じ。 素材の選び方も上手く、宮台真司他の「サブカルチャー神話解体」以…

月に繭 地には果実

読了。 結局、「ホワイトドールの石像が動いた!→勝手にぶっ放したビームライフルで未曾有の大災害」のところが一番面白いトコだった。 ラストあたりに秒単位で数万〜数百万人が大殺戮されるシーンが月、地球並行に描かれるが、これってアニメ版とは違うらし…

月に繭 地には果実

いわゆる福井版∀ガンダム。福井晴敏といえばガノタ(富野オタ?)で有名だが、これ読むと、やっぱり作家としての方向性はぜんぜん違うな。 福井晴敏はもともと書き分けられる人間の種類が多くない*1ので、イノセントな少年であるロランはともかく*2、エキセ…

柳生忍法帖(下) 会津雪地獄篇

読了。 この本を読み終わるのって、いっつも午前2時〜3時くらいだな。それだけクライマックスのテンションが高く、眼が離せない、ということなんだが。 今回初めて、花地獄と雪地獄が、展開以外にも様々な部分で、作品上で相似形をなすように配置されてい…

柳生忍法帖(上) 江戸花地獄篇

富士見時代小説文庫版を再々読中。 こいつを友人に借りて読んだが最後、徹夜で読みきって翌日「下巻貸してくれ!」と吼えたのが19のときで、これが初山風。年代的には、角川の子会社の富士見から刊行されたことからもわかるように、映画『魔界転生』がらみ…

バーサーカー 赤方偏移の仮面

読了。「皆殺し軍団」の何でもござれなごった煮ぶりはないが、連作形式を生かしたトリッキーな短編の数々に、思わずニヤリとさせられる。設定から想像される、人間vs機械の(普通の)戦闘シーンがあまりなく、いちいち外伝的なエピソードなのは、一筋縄では…

フレームシフト

その電車で読了。ガッカリ度高し。

フレームシフト

うーん。SFっつーか、ミステリ…でもないな、なんだろ、ジャンルでいうなら純サスペンスか。筋運びが巧いんだけど、それって『ベストセラーの書き方』的定番を押さえまくっているからで、別にそこに感動はないし、SF的な驚きもいまんとこ皆無。 SF的な設定と…

後藤隆幸画集 Gの旋律

どんだけ待たされたんだか。去年の誕生日に貰えるはずが、クリスマスプレゼントとして届いたよ。 後藤氏と言えば、俺にとってはやっぱり「ジリオン」の人、なワケだが、IGの取締役ながら、氏の作品や絵柄の傾向はIGのパブリックイメージとカケ離れている…