ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

うーん。これって、特定ジャンルの特定の作品の構造を分析する本、なのね。
清涼院流水を発掘してきたのは卓見だと思うし、ラノベと(腐女子ファンも多い)新本格とを結ぶ結節点としているのはいいが、なぜかこの本、ラノベと純文、ラノベエロゲー間の接近を語っているにもかかわらず、他ジャンル、特にその双方の層を包括しているはずの「マンガとアニメ」からの影響はほとんど考慮されてないように見える。なぜ「ループ」と「死の軽さ」を語って『GANTZ』が出てこないんだろう。ガンツの元ネタのひとつである『バトルロワイヤル』から新本格への影響なども含めれば、今度は『デスノート』まで出てくる。山本英夫とか。それともマンガは大塚英志の範疇だから避けた?
あとは「構造についての物語」が、あまりにも歴史と断絶しすぎ。エロじゃない『MOTHER』『MOON』『AZEL』『ベイグラントストーリー』なんてゲームもあるのに。そんでもちろん、これらのゲームは多かれ少なかれ、登場人物が観客に語りかける『勝手にしやがれ』であるとか*1、「外から見ている」人物が映画の世界に入っちゃう『ネバーエンディングストーリー』、その逆の『ラスト・アクション・ヒーロー』であるとかの影響下にある。
もうちっとジャンル横断したこーゆー本が読みたいなー。贅沢か。

*1:黒澤の『素晴らしき日曜日』とか