プラスマッドハウス2川尻善昭

というわけでヤマダのポイントを全額突っ込んで購入。長年川尻ファンをやってきたつもりだが、この手の研究本が出るのは初では。
感想。
ロングインタビューが面白い。基本的には知ってる話が多いが、山田風太郎へのストレートな偏愛ぷりっとか、やっぱり本人の口から語られると納得度が違う。そうだよなー、やっぱあそこまで好きじゃないと『獣兵衛』は作れんよな。あと、これもやっぱりな、と思ったのが「菊地秀行を通して山風をやる」ってのは確信犯だったか、と。菊地秀行が山風をリスペクトしまくってるのを即座に見抜き*1、現代版忍法帖として『妖獣都市』を作った、というのは、まさに同類を嗅ぎつける嗅覚のなせる業だろう。監督の考える「ハードボイルド」に外人と違ってバイオレンスが大盛りなのは、五社英雄とかの影響だと思うし、このへんがクリアになるとやっぱ面白い。
細いエピソードもいい。『ムーミン』で、日本を代表する馬アニメーターとなる川尻善昭安彦良和が机を並べて仕事をしていた、とか、出崎統とは思った以上に親しく仕事をしてたらしい、とか。それにしても、出崎統の話はよく出てくるが、フィルムからは出崎統と同等以上に影響を感じるりんたろうの話がほとんど出てこない。やっぱりインタビュアーが作画のことを聞きすぎるからか、当時のアニメーターとしての視点で答えているような気もする。
フィルモグラフィーにアニメ版『スポーン』のOPとか、セガサターンの『VIRUS』キャラ原案とかがないのが気になる。こーゆーのってどこにツッコめばいいんだろ。

*1:山風ブーム後、新書の解説とかで菊地秀行自身が山風の影響を喧伝する10年以上前