柳生忍法帖(下) 会津雪地獄篇

読了。
この本を読み終わるのって、いっつも午前2時〜3時くらいだな。それだけクライマックスのテンションが高く、眼が離せない、ということなんだが。
今回初めて、花地獄と雪地獄が、展開以外にも様々な部分で、作品上で相似形をなすように配置されていることに気付いた。花地獄に女達が紛れ込むトリックと、雪地獄に員外メンバーといえる女が紛れ込んでいたトリックとか、その繰り返しと、バリエーションのつけ方も含めて絶妙すぎる。しかもビジュアルがまったく同じ「全裸の女が折り重なって倒れている」だとか、どこまで律儀なんだか。やっぱ推理作家の手つきだよなー。
チェスタトン流「葉を隠すには森」を実行するのに、「女を隠すには女地獄」という極限のエロ&ナンセンスを持ち出す異常さと、その律儀さの混濁こそが山風の真骨頂。
それにしても今回、十兵衛、沢庵の声が脳内で山寺宏一青野武に勝手に変換されるのは参った。