Op.ローズダスト

下巻の中盤まで。
小説としてのバランスの悪さと、繰り返される「新しい言葉」というフレーズのクドさ、絶望→復活→絶望→…のループに人間的成長が伴わない歯がゆさ、主人公不在で進む作戦描写の居心地の悪さなど、いままでの長編では見られない構成の粗が気になる。あと、人物が薄っぺらい理由も後半になってちゃんと出てきたけど、これはどうかなぁ。前半のリアリティを犠牲にしてまでやることじゃなかったんでは、と思える。
とはいえ、これはこれで見るべきところの多い小説だとも思う。特に、本作をハウダニットもののミステリとして捉えた場合、この手口の意外性とスケールの大きさは、過去まったく比類ないレベルだろう。圧倒的ディザスター描写のつるべ打ちであるクライマックスは、SF以外のジャンルとしては、もう越えられることはないんではないか、とすら思える*1。あとやっぱ、樋口真嗣とはマブダチなんだなー、とか。
いまやってるガンダムユニコーンって、単に福井晴敏ガノタだとか以前に、破壊衝動に歯止めのきかなくなった作者が、もっとスケールの大きい破壊のステージを求めただけ、かも知れん。

*1:逆に、これ以上やってしまったらもうSFだよなー、とも思える