人工知能とモノのインターネット(IoT)の話

先ごろ、日本のゲームAIの第一人者である三宅さんとお話しする機会を得て、「現実のデジタル化は人工知能と合わさることでどんな未来社会に繋がっていくか?」というお題*1でひとしきり雑談させていただいた。
まだ自分の中で整理できていない部分もあるが、いくつか興味深い論点があったのでメモ。
自分はずっとTVゲームばかり作っていたので製品やサービスといったアウトプットに繋がらないことには気が進まないが、三宅氏は研究者らしく、興味のあることは途中でもどんどん外に出して共有し皆で議論していこう、というスタンスだったのが印象的だった。

  • ネットは広大だわではないが)デジタル世界は十分広がったが、まだ現実との接点が少ない。現実のデジタル化は、デジタル側からの現実への足がかりになる
  • グーグルやアマゾン、アップルといった企業はデジタル世界では十分成長した。デジタルで現実世界を覆う「現実のデジタル化」は、彼らにとっての(数少ない)更なる成長分野。だからストリートビューIngress、ロボットカー、無人ドローンなどに大金を突っ込める
  • そこで人工知能がどんな役割を果たすか、まだわかっている訳ではない。ただ、現実のデジタル化が進めば、デジタル化したデータを人工知能が解釈し、「現実的な価値」を提示していくことが可能になるだろう
  • 現実をデジタル化することで初めて可能になった例としては、イギリスで政治家の領収書をネット上にアップし、多くのネットユーザーがそれを検証することで汚職を発見したりするシリアスゲームが登場した
  • 現実からデジタル、またはデジタルから現実、の一方通行ではなく、現実が一回デジタルを経由することで、これまで不可能だったいろいろなことが可能になるだろう。人工知能の現実への進出もその一つ
  • グレッグ・イーガンの『ディアスポラ』には、人間と人工知能の差、人間とロボットのインターフェースの差、それぞれをどのようにして埋めるかがすでに示されている。現実に人間がそれを受け入れるのは難しそうだが

などなど。
ゲームバー「16SHOT」の狭いなかでお堅い話をして浮きまくったりとか、ちょっと尻切れ気味(の割りには終電を逃した)だったので、今後twitterのAIラウンドテーブルなどでこの話題には食らいついていく予定。誰得とか言わない。