TRON:LEGACY

リアル世界が2D、ウソ世界が3D、という転倒した表現が面白い。
タイトルに「TRON」と入ってるが故の脚本の散漫さ、あとライトサイクルが直角に曲がらないところは残念。ゲームルールの説明がなく、ただ囲碁盤を撮すだけ(話には関係しない)ってのはなかなか斬新。
映画としてどうこう言うような作品ではなく、簡単に言えば、この続編はもはや単に「昔のSFで流行ったビジュアル意匠を流用した」だけの異世界ファンタジーだ。SFではない。前作が登場し、「コンピュータによって作られたもうひとつの世界」が魅力的だった、80年代サイバーパンクの遺産(=LEGACY)を愛でる映画だと思う。
インターネットともメタヴァースとも無縁な、ジャーニーが流れ、クイックスのクローンであるアーケード版『TRON』が稼働する「過去」のゲーセンで起きた、時代をまったく特定しない『ネバーエンディングストーリー』コンパチの「少年/青年が異世界冒険を経て現実世界と折り合いをつけていく」話。あの女はこの主人公にとってのファルコンなのだろう。これはこれで、アメリカ版『三丁目の夕日』なのかもしれない。
しかしまったくもってウソ世界の100パー作り話の映画をここまで大マジで作れるハリウッドってすごい。擦り寄りおもねりが目立つスポーツマン山田(笑)とはエライ違いだ。