映画

ジョーカー

「ジョーカー誕生秘話をスピンオフで映画化」と聞いて最初に思い浮かべたのはアラン・ムーアの手になる「キリングジョーク」*1で、まぁあんな感じの作品なんだろう、金獅子賞獲ったってんなら結構シリアスに作られてそうだな…程度の認識で鑑賞。結果、かなり…

虐殺器官

伊藤計劃以後、という言葉さえ生んだ著者デビュー作のアニメ化。原作は未読だが日記の映画評はちょくちょく読んでいたので、氏がどういう思考の持ち主でそれがどう作品に反映されているかはなんとなく理解できる。 伊藤氏のSFに対するスタンスは映画監督アル…

レディ・プレイヤー1

ゲームやSFの界隈では邦訳前から結構話題になっていた小説『ゲーム・ウォーズ』がこのVR時代に満を持して映画化。 我々アラフォー、アラフィフにとってのオトナ帝国といえるVR世界を舞台にした、ウェルメイドな冒険活劇となっている。 本作の主要登場人物た…

パシフィック・リム:アップライジング

前作『パシフィック・リム』は2013年の映画だが、すでに現代のカルト・クラシックの地位を占めている。いまやオスカー監督となったギレルモ・デル・トロの爆発するオタク趣味と溢れるビジュアルイメージ、そしていつもと同じくシビアなドラマツルギーが、も…

ブレードランナー 2049

伝説的なSF映画の続編やらリブートやらが連続する昨今、遂にというかとうとうというかブレランにまでも続編が公開。これの予告がかかっていた頃の新宿歌舞伎町では、ビルの垂れ幕にエイリアン(コヴェナント)とブレードランナー(2049)、その向こうから巨…

バリー・シール/アメリカをはめた男

たまたま時間が合ったという理由だけでほぼなんの事前情報も仕入れず鑑賞。こういう伝記映画にしては異常にテンポいいなーと思ったら監督が『ボーン・アイデンティティー』のダグ・リーマン(「ライマン」表記問題どうなった?)だった。 というわけで本作、…

ジョン・ウィック

「TZKさんジョン・ウィック観てないんですか!?それ人としてどうなんですか!?」と若人にたしなめられたので鑑賞。話題になってるのは知ってるけど、自分が中年になってからというものアクションだけの作品にはなかなか食指が動かなくなっているのも事実。…

007 スペクター

ダニエル・クレイグ版ボンド4部作のトリとして撮られたと思しき現時点での007最終作。ファーストカットの延々長廻しで見せつけられる「死者の日」(日本でいうお盆みたいなお祭り)の緊張感から、なかなか引き込まれる。 前作『スカイフォール』がこれ以上な…

太陽の王子 ホルスの大冒険

高畑、宮崎コンビの記念すべき最初の作品であり、大塚康生、小田部羊一、森康二など、のちのアニメレジェンドがこぞって参加した東映長編を代表する一作。高畑勲の初監督作でもある。 基本ストーリーは当時の東映動画らしい名作路線なのだが、のちの高畑作品…

戦争のはらわた

一見ホラー映画のようなタイトルだが、中身はペキンパー印の異色戦争アクションだった。一兵卒でしかないはずの主人公がハードボイルドヒーローで登場人物がみな彼を気にしているところや、彼を中心として舞台やテーマがどんどん変化して行くロードムービー…

ダンケルク

前作インターステラーが合わなかったのでノーランはしばらくいいやぁ…とか思ってたが色々あって割引の日に鑑賞。 セリフをまったく使わない冒頭シーンなどはこれまで冗長といえるほどのセリフを積み重ねてきたノーランらしからぬ抑制ぶりで、「おっ、今回は…

メッセージ

こちらもまた、非常に内省的な映画である。平和的なファーストコンタクトを描いた生真面目なSFとして『コンタクト』と比べる向きもあろうが、「未知と宇宙とに対峙する人類のアイデンティティ」としての個人の信仰が描かれた『コンタクト』と異なり、こちら…

フューリー

ブラピが第2次大戦の戦車小隊を率いるというアレ。当時はガルパンとかのブームで熱血戦争映画かと思ってたら、実際はかなり宗教色の強いイマドキらしい哲学的な内容だった。 話の縦軸としては、観客の目線として小隊に配属される若者(しかもご丁寧に実戦経…

沈黙 -サイレンス-

マーチン・スコセッシが遠藤周作「沈黙」の映画化を熱望している、という話はずいぶん前からあったらしい。 でもあれを原作にした時点で、どう考えてもウルトラハード拷問映画にならざるをえんよなー、と思っていたのだが、いざ完成して観に行ったら3時間近…

この世界の片隅に

作品の制作過程はアニメスタイルの連載で知っていたが、当時はちょっと見るのが辛そうな映画だな、と思って距離を置いていた。 そう思った理由は、原作者こうの史代氏の前作「夕凪の街、桜の国」にある。知識として原爆は知っていても、これほどストレートに…

ジェイソン・ボーン

ジャンルのクラシックだったロバート・ラドラムの原作を現代に蘇らせ、スパイ、アクション映画に革新をもたらし新たなるマスターピースともなったジェイソン・ボーンシリーズ。 新作が出るたび自分も興奮させられてきたが、ボーン・アイデンティティーからボ…

シン・ゴジラ

それほど興味もなかったんですが、公開直後からTwitterのTL上で名うてのうるさ型たちが諸手を挙げて大絶賛状態だったので、情報があれこれ入ってくる前に、ということで8/1の映画の日に川崎で観てきましたよ。 で、たいそう楽しみました。少なくとも現時点で…

桐島、部活やめるってよ

なんとなくいい評判が伝わっていたのでおっかなびっくりで鑑賞。いやー、これツライわ。特に学生時代、映研、文化部、創作系オタクだった観客は全員容赦なく心に傷を負ったんじゃないかと思う(笑) 原作は未読だが、この作品でクローズアップされているのは…

X-MEN: フューチャー&パスト

なんと、X-MEN3の続編にして、X-MEN: ファースト・ジェネレーションの続編でもあるという凝りに凝った一作。しかもちゃんとそれぞれの役者が再登板しており、中でも、若きプロフェッサーXが未来の自分と邂逅するあたりの、長年続いたシリーズの厚みが生み出…

アベンジャーズ2 エイジ・オブ・ウルトロン

いつもの内ゲバ。なんというか、アベンジャーズは揃わないほうが世界は平和だったんじゃないかとすら思う。 あと、ソーが強すぎるためヤツをどうやって遠ざけておくかに脚本家が頭をひねったことが感じられ、なんかルパンの五ェ門みたいな扱いだと思った。 …

オデッセイ

こないだの『インターステラー』でいかにもクリストファー・ノーランの好きそーな人間観「いかに有能で優秀な人間であっても希望を捨ててしまったらクズ人間なのだ」を体現したクズ博士を熱演したマット・デイモンがまたも宇宙に取り残されてサバイバル。原…

トランスポーター

こちらは1から3まで。リュック・ベッソンが製作と脚本で関わってるというあたりで、また海からカメラが上陸してきたぞとか、ニキータに出てきたときのジャン・レノみたいなスーツケースの殺し屋が出てきたりとか、撮影がどうにも黄色っぽいとか、ベッソン好…

ワイルドスピード

故あって1から6まで。最初のB級カーアクションっぽい世界観のまま、どんどん予算が増えファミリーが増え、ってあたりはなんかオーシャンズなんとかとかワンピースとかを連想させる。 しかしこういう、ヤンキー(情に篤いアウトロー)がファミリーをだんだ…

インターステラー

最初に宣言しとくと、自分はこの映画があまり好きではない。 いや、こういう逃げっぽい書き方は良くない。はっきり書くと、本作『インターステラー』は「俺の嫌いなタイプのSF」だった。 以下、おかしなドグマに囚われた狭量な原理主義者による戯言だと思っ…

宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟

また松本零士か!(正確には違うことになってますが) うーん、映像はそれこそ日本のアニメ最高峰レベルの出来だと思うんだけど、この宇宙ドグラマグラみたいな話ってわざわざヤマトの映画でやるようなもんなのかなぁ…、と思ってしまった。TV版の途中に挟…

キャプテンハーロック

なんと、あのアナクロなダンディズムに溢れた宇宙海賊キャプテンハーロックが21世紀になってまさかの復活。 やっぱアレ?世の中の海賊ブームにいっちょ乗ろうとかそういうの?(ちなみに制作の東映動画は『ワンピース』のアニメ化を長年手がけている) で、…

キングスマン

『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』は面白かった。人種差別のメタファーであるミュータント弾圧からX-MEN結成に至る流れを、重苦しい受難のドラマではなく、ある種能天気な青春ドラマとして演出してみせ、その時代背景を当時流行のスパイ映画の形で見せ…

マッドマックス 怒りのデス・ロード

あのマッドマックスがなぜか今ごろゲーム化!砂漠で水と油を奪い合うクルマMMO作ろうぜーとか言ってた俺の立場は!? などと言っているうちにあれよあれよと4作目の映画が発表!しかも監督はジョージ・ミラー!! ということで、イソイソと観てまいりました…

ゼロの未来

こないだウォシャウスキー姉弟の映画の『未来世紀ブラジル』まんまなシーケンスに出演した*1と思ったら、こんどはブラジルを嫌でも思い出す近未来ディストピアな作品を完成させたらしい…でやってきたのが本作。 自分はクストリッツァとともにギリアムに多大…

メイズ・ランナー

とりあえず謎だらけな世界に主人公を放り込み、キャラクターを順次紹介したら、世界の秘密をチラチラ見せつつ殺し合いをしてもらいましょう! …というフォーマットをいったい誰が始めたのかはもう定かじゃないが、とりあえず洋の東西を問わずこのフォーマッ…