ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

TV放映してたので。
「序」のヒットの結果か、前作と違って予算潤沢らしく作画がゴージャス。そしてそこで描かれるバイオレンスな「殺し」(「アクション」ではなくて「殺し」と言いたい)のねっとりした描写に圧倒された。なんというか、ナショナルジオグラフィックとかで見られる野生動物の補食の瞬間を彷彿とさせる、有無を言わさぬ「殺るか殺られるか」のドラマの説得力。
反面、お話にはあまり見るべきところはなかった。精神的にずいぶんしっかりしたシンジは主人公としてきちんと「挫折と再生」を演じて見せ、力を「正しく」使ってヒロインを救出しストーリーを淀ませない。その「淀み」こそが旧作最大のオリジナリティだったにも関わらず、だ。
で。
そーゆー目で本作のラストシーンを見ると、お話がちゃんと「映像が語るテーマ=ひたすらエスカレートする破壊の力」に収束していくように見える。純粋な力それ自体が、人を越え善悪を超え神となる。まるで石川賢のような世界だが、もしそれをやり切れば、旧作とは違った意味で、新劇場版シリーズも「振り切った傑作」になりえるかも、と思った。
ちなみに、前作「序」で思った(http://d.hatena.ne.jp/SiFi-TZK/20090222#p2)都市のディティール描写は本作では後退し、それこそ押井的都市論などとは無縁だったので、自分のエヴァ観はどーも見当違いであることが多いと思われます。南無。