ガンダムの脚本とか

結局なんどか配信を観た結果、やっぱ初代しかないガンダムの面白さって、脚本家陣によるものだと思う。前にもちょろっと書いた*1けど。
SFガジェットを駆使し、スケールの大きい宇宙戦を描くぬえの松崎健一とか、個人のドラマにこだわるあまりククルス・ドアンまでねじ込んだ荒木芳久とか、戦場のドラマにやたら気合が入る、のちにJ9シリーズを生んだ山本優とか。あと、カツレツキッカとかの子どもがちゃんと作品世界に「生きてる」のはもちろん、アムロにもある、頭でっかちじゃない少年っぽさはやっぱ安彦良和の絵の力だ。
けっこうバランバランな彼らの嗜好をうまく生かして作品世界を膨らませているのは富野演出の凄さだけど、やっぱそこは39歳(当時)。けっこう収集つかなくなってしまった物語のオチを性急に「ニュータイプ」に求めて、光瀬龍にコテンパンに言われた*2のは、まったくもって「若さゆえ」ってヤツだろうか。
んでも、それで一旦成功しちゃったもんだから続編では誰もカントクに逆らえず、萎縮した脚本で窮屈な世界になってしまったのは、こないだ講演でカントクが自ら言ってた「成功した人は出世させたらアカン」を地でいってるよーな。で、自らの脚本+演出力で押し切るのも逆シャアあたりがピークだったと。
内容はともかく、高橋良輔がペールゼン・ファイルズで当時のスタッフたちをもう一回招集したのはそのへんもあるのかも。キャリアに臆さず、監督の自分に噛み付いてくれる人を入れる、という。

*1:http://d.hatena.ne.jp/SiFi-TZK/20080329#p1

*2:ガンダムより10年前の『寛永無明剣』で、光瀬はすでに人類総テレパス社会の没落を描いている