猫侍

今は亡きヒューマンのPS用ADV。なんとディスク3枚組。ぜんっぜんどんなゲームか情報がなかったのだが、実態はエロじゃない『同級生』だった(もしくは移動画面のある『ライズ・オブ・ザ・ドラゴン』)。システムはほんとマンマと言っていいくらい。違うのは移動画面では勝手に時間が過ぎることくらいか。
キャラクターに対するモチベーションがエロゲーと普通ゲーでは段違いなので、目的意識を見出せない序盤がとにかくツラい。システムに慣れていない導入部くらいは、ある程度の誘導は必要だったと思う。
個人的には時代劇なのに主人公の一人称が「俺」ってところだけいただけないが、セリフは各キャラともちゃんと人物像を踏まえて書かれており、なかなか読ませる。不毛なフラグ立ては(『同級生』と同じく)苦痛だが、シナリオの組み方もなかなかうまい。あとはダレっぱなしのシステムと、腐ったミニゲーム、ヘボいCGムービー、とことん安い音楽などがなんとかなれば傑作確定かも。
それなりに前衛的なゲームだが、見た目はオールドスタイルのADV、設定は時代劇、主人公は渋い猫又(!)であるなど、システム以外も売る気がまったく見えないので、これが失敗したのはある意味必然か。のちに出た(猫のつかない)『侍』と、ゲームデザイナーの目指してたトコはかなり近く感じる。『侍』は目の付け所や売り方が巧かったが、『猫侍』とあれこれ比較すると面白いかも。