逆転裁判

初代のDS版(の廉価版)。買ったけど放置してたのをいまごろプレイ。
3話クリアまで行ったが、やっぱり評判になるだけあって、なかなか面白い。
特に、法廷シーンで「的確にツッコむ→逆転!→御剣に覆される」を連続させ、プレイヤーに細かく快感を味わわせているのがうまい。クラマーのいう、「プレイ中何度も緊張感のピークが来るのがいいゲーム」を実践している。このへん、「事実とは異なるが、その時点では有り得る仮説」でマメにカタルシスを与える手法はコリン・デクスターにも通じる。旧来の推理ゲームは大トリックや犯人の指摘でしかカタルシスは得られなかったから、その意味ではなかなか新しい。
ただその反動で「最初の証言から複数の矛盾がある」ため、「そこにツッコみたいわけじゃないのに!」となるシーンが多かった。初っ端の法廷とか、そのせいでいきなりゲームオーバーになりそうだったし、「理由はないが、ヒントに沿って順番にツッコまないとダメ」ってのは今後の課題*1だろう。
法廷シーンはカプコン特有の「ボタンを押した瞬間の快感」がADVである本作においても徹底*2、ROMである利点も最大限生かして演出され、このへん(とキャラクター)が本作の人気の源と見ていいだろう。ただし、法廷シーンの新しさに比べ、旧態依然とした探偵シーンを苦痛と感じてしまうのが難点か。
シンキングラビット/アトラスの『南方珀堂登場』と比較すると、やはり後発の『逆転裁判』のほうがシステムが簡略化≒洗練されており、また、安楽椅子探偵がビデオのみで謎を解く、いかにもシンキングラビット製本格パズラー的な『南方珀堂登場』に比べ、あとからあとから事実が明らかになり、本格というよりスリラーに近い『逆転裁判』はいかにも現代のゲーム*3なのかも。

*1:このあたりは日本ADV特有の問題なので、続編で解決されてるとも考え難い

*2:惜しむらくは、DS化にあたって「探偵シーンはタッチパネル」「法廷シーンはボタン」の方がそれぞれ直感的、という齟齬が生じている。

*3:キャラクターを面白くしようとして、片方は失敗し、他方は成功しているのをみても。