バッファロー'66

もっとバイオレンスと死臭に満ちた映画かと思ったら、想像とぜんぜん違ってた。
『タクシー・ドライバー』+『グロリア』−「犯罪もの」=『バッファロー'66』?
バカで粗暴で抜けてるヘタレ男を、正体不明のムチロリ少女が癒して癒して癒しまくる。ものすごく幼い恋愛映画、と思った方がいいかも。
これだけ聞くとまったくなんでこんな童貞ドリームが世の女性たちに受けるのか、とも思うが、やっぱり計算なんだろうなぁ、ギャロの。想像するに、あのワイルドな風貌と、純粋さと表裏一体の社会不適合者っぷり、ヘタレっぷりが、「わたしが守ってあげなくゃ!」みたいな母性本能をくすぐる、とかだろーか。よくわからんが。とにかく徹底した女尊男卑っぷりが潔い。これは似たような傾向のエヴァ*1以上。突き抜けてしまっているせいか、エヴァとは逆に時代を感じさせないスタンダード感をかもし出している。
昔のフランス映画みたいな映像は初め16ミリ? と思ったが違うようだ。実はたいしたことのない物語を、クリスティーナ・リッチのタップとかの不思議時空で「もたせて」しまう語り口の巧さなど、やっぱり「芸術家」の作品なんだろーなー。

*1:タイトルからして原「母性」だもんなー