妖異金瓶梅
異常なのはやっぱ怪僧の部分だけだったようで、さすがキリシタンものは気合の入り方が違うようだ。山風が忍法帖を書いたいきさつは、本人のエッセイによると
- ミステリから時代物に、徐々に本人の興味が移っていたころ
- ミステリの原稿料が払えなかった会社が、『金瓶梅』をかわりに送ってきた
- それをカネに換えるために読み、作品として結実したのが『妖異金瓶梅』
- 『金瓶梅』と同時代の設定の『水滸伝』にも興味を抱く
- 『水滸伝』では武器は108種ないので、それだけの種類の忍法(忍術)を使って小説を書くことを思いつく
- 『甲賀忍法帖』に結実。以下、忍法帖を続々執筆
とのことだから、そのへん含め、忍法帖誕生前夜の作風の変遷が、この一作に垣間見えて面白い。