撃ち分けとARPG

ARPG華やかなりし頃の記憶を掘り出してみる。
ドルアーガの塔』の戦闘は新しかった。剣を振るうのではなく、剣を抜く動作がボタンに割り当てられている。この戦闘システム採用の理由の一つは、マッピー基板の流用だから、ということもあるだろう。他方の理由として、遠藤氏の前作『ゼビウス』の「空陸撃ち分け」と同様の思想があったように思う。
ドルアーガのシステムは、剣を抜く前が防御、抜き終わったら攻撃、と二つのモードを行き来する。その交代の間にどちらでもない「無防備時間」があり、その長さと、「抜いた状態でも(ちょっと難しいが)防御はできる」というところにアクションゲームとしての面白さがある。
では、そのフォロワーはどうか。
ハイドライド』は単に「攻撃」「防御」とモードを切り替えたが、『ザナドゥ』『イース』『ゼルダの伝説』はどれも攻守切り替えを行っていない。
ゼビウス』の「空陸撃ち分け」の面白さは、『スターフォース』の爽快感に道を譲った。STGのそれを同じ現象が、ARPGにも起きたと考えられる。『リンクの冒険』『イースⅢ』で「ボタンで攻撃」が復活しても、その点は変わらない。最近のゼルダでは防御が大きなウェイトを占めるようになってはいるが、ドルアーガとの間には、深い溝が存在しているような気がする。