ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

ブライアン・デ・パルマの手がけた初代M:Iは非常に面白かった。とにかくサスペンスがてんこ盛りで、ダニー・エルフマンの音楽も「いわゆるハリウッド調」ではなく、もちろんラロ・シフリンのテーマ曲のカッチョイイ現代風アレンジも含め、一作目にして007シリーズと比肩しうる、いや、当時においては本歌取りとさえいえる独特の魅力をたくさん持ったフィルムだった。M:I2はまぁ、面白いっちゃ面白いけどスパイじゃないね。でM:I3は観ておりません。
で本作。
どうもM:I3と直接繋がってるようで、意味ありげなセリフが交わされるけどイマイチ作品に入り込めず。アイディアは面白いし、アクションも凝ってる、シギント偏重のスリラーにならないよう装備面で主人公側を弱体化させたりとか脚本も要所は押さえているんだけど、少なくとも初代や2作目の持っていた「うぉーこれなんなんだ、なにをおっぱじめるんだこの映画!?」というワクワクは本当にちょびっとしかないのが残念。
本作の監督ブラッド・バードはワーナーで『アイアン・ジャイアント』、移籍したピクサーで『レミーのおいしいレストラン』『Mr.インクレディブル』を監督したアニメ界の異才なのだが、本作に関して言えば、作劇にも演出的にも、「お、ここまでやるか!」というブラッド・バード色は感じられなかった。製作のJ.J.エイブラムス色が強いというか。
もちろんボーン以後、このジャンルのハードルが上がりに上がっている、という事実はあるにしても。
このシリーズは毎回監督が変わるので、とりあえず初ライブアクションをそつなくこなしたブラッド・バードの次なる挑戦に期待したい。