ジョン・カーター

あの『火星のプリンセス』がついに、というかまさかの映画化!『スカイキャプテン・ワールド・オブ・トゥモロー』のケリー・コンランが監督に、と聞いたのはかなり以前の話だったが、最終的には『ファインディング・ニモ』や『WALL-E』を手がけたアンドリュー・スタントンの初ライブアクション映画として完成した本作、世間的には世紀の大コケを記録した作品として有名になってしまった。
この企画が通ったのは多分に本作の制作会社であるディズニーのアニメ作品『ターザン』の影響と見ていい。ターザン同様、バローズの「古典的」ヒーローを現代のファンタジーとして描けばヒット間違いなし!…とスティーブ・ジョブズだかジョン・ラセターだかディズニーの誰かだかが考えたんでしょう、その彼が本作を作ったことでどういう扱いを受けたかはともかく、自分としてはその彼に感謝を捧げたい気持ちでいっぱいだ。
なによりこの映画、とにかく原作に忠実なのだ。もう80年は経とうという、言ってしまえば素朴で単純きわまりない物語を、ほとんど新しい要素を無理やり追加することもなく現代のVFXアクションとして蘇らせてしまった。これは製作者の原作リスペクトの賜物だろうとしか思われない。これが感謝せずにはいられようか!
その大きな代償として、本作はとてもとても陳腐で既視感バリバリだ。古典的名作の宿命で、もうフラッシュゴードンやスターウォーズアバターやらなんやらかんやらで散々見せられ、パクられた光景をもう一回見せられるのは正直キツイ。普通の観客はなんでこんなにいろんな映画(しかもそれでさえどれもけっこう古い)を平気でパクってしかも古くさい映画をイマサラ作ったんだろう、とか思ってしまいそう。
まったく万人にはオススメできないけど、バローズと初期スペオペにノスタルジーを覚える向きにはゼヒ観ていただきたい。新解釈のウーラはダーククリスタル系のブサカワモンスターになってて、このままディズニーランドのパレードの人気者になれそうな雰囲気。ウーラかわいいよウーラ。ディズニーさんにはウーラのスピンオフアニメ「ウーラの大冒険」を強く希望!