ハッピー フィート

ジョージ・ミラーですよ。制作してたベイブを自ら監督したと思ったらスピードと暴力の映画にしちゃったオーストラリアの怪人のお出ましです。かわいいかわいいペンギンさんの映画だが、暴力的スピード感は健在。
それにしても、まったくもって一筋縄ではいかない映画だった。ラストの方なんか、ひさしぶりに、「どこ行っちゃうんだこの映画は!?」というワクワク感を久しぶりに味わわせてくれた。ジャンル映画は予告編以上の何かはいらない、という保守的な観客は知らないが、このいろんなテーマを渡り歩いた挙句、意外と骨太な社会派映画として決着するこのラストには諸手を上げて支持したい。逆に、ここで「制作者のオナニーはよそでやれ」とかいう人とは友達になれんね、俺。
アカデミー賞のアニメ部門を受賞しているそうで、確かに、このチャレンジ精神はちょっとすごい。それこそ宮崎駿とかじゃなくて、これを現代の、リアルな世界でやってのけることに意味がある。見た目を裏切る*1、非常にクリエイティブで現代アメリカな映画だ。
以下ネタバレ。
最後のシーン、かみさんが「なぜ人間が南極に行ったのか、なぜそれが環境改善に繋がるのかわからない」といってた。感想を検索してみたら同様にココを不自然・ご都合主義とする意見がかなり目に付くが、これは、

  1. 水族館の「踊るペンギン」が話題に
  2. 話題を大きくしたいメディアが「踊るペンギンのルーツ」を取材
  3. 南極のペンギンがものすごく話題になる
  4. 話題になると、それまで注目されていなかった、彼らの生態系破壊の話が自然にクローズアップされる
  5. 環境問題の象徴として「踊るペンギン一族」が祭り上げられる
  6. 政府とかの大衆に対するデモンストレーションとして、「踊るペンギンを救おう」みたいな政策が出てくる
  7. その結果として、あーゆーラストになる

ということなので、別にそんなにご都合主義じゃない。どころか、メディアやブームに対するある種の皮肉になってる。あの数分に『ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ』が凝縮されてる、と思えば。

*1:大人の観客には、だが。