鉄人28号 白昼の残月

いわくつきのアレ。鉄人って何、とか、正太郎って誰、って人は相手にしてないが、まぁ人口に膾炙した原作だから、これはこれでアリなのだろう。
例によって製作途中で予算が尽きたのか、前半部がナレーションばっかりとか、音楽が伊福部とはいえ既音源の使い回しとか、相変わらず消化不良な脚本とか、ショウタロウの行動が支離滅裂だとか、お高ちゃんが自覚的にアニメの人過ぎるとか、不安要素は盛りだくさんながら、やはり最後は演出力で見せ切られた。今川監督は確信犯だからなぁ。力技の演出もいいが、も少し脚本をがんばってもらえれば、クレしん級にもなれたのにと思うと残念だ。
今回は鉄人も正太郎も完全に脇役で、TV版ラストのビッグファイアの台詞、「こんな日本は大嫌いさ」をメインテーマに据えた、まったくカタルシスのない作り。山風の某作品の「誰かが罰せられねばならぬ」かと思ったよ。
砂の器』信者でもある監督の本領なのか、ものすごく「日本映画」してる。アニメで言うなら『WXIII』あたりにしか似た作品がないかも。なにもかもが運命と情念の世界。ある意味もっとも横山光輝の世界と遠い、究極のナニワ節アニメ。
それにしても、「で、デートーォ〜!?」って、使いまわすほどお気に入りのネタなのか?