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名作でも観てみっかシリーズその2。フェリーニ映画は『道』以来だが、こりゃまたキテレツな、っつーか、ずいぶんと玄人向けですな。たぶんこれ、商業的創作活動において悩んだことがある人しか面白くないと思う…って、結局のところ「映画人を感動させる映画」だから映画ギョーカイで評価されてるのか?
難しい映画ではないが、誰にでも楽しめる映画じゃないので、人に勧めるときは相手を選んだ方が良さそうだ。
映像が上手い。特にPANが凝っててイチイチ唸らされる。モノクロ画面に映し出される女優陣の浮世離れした美貌が、特に起伏がないこの映画を「もたせて」いるのも計算だろう。題材自体は苦し紛れの産物にもみえるが、ものすごいテクニカルな映画であるのは間違いない。
「駄作はプロデューサーにとっては損失だが、監督にとっては命取りだ」という台詞が、キューブリックの「他人の感情を損ねることを恐れて作品に傷がついても、それは『君の作品』なのだ」と重なってグッサリきた。