フロム・ヘル

新鋭ヒューズ兄弟が監督だそうで、なるほど、とてつもなく凝った画作りはいかにもビジュアル世代らしい。
サスペンスとホラーのミックス具合がなかなか上手く、まぁ演出は比較的凡庸なのだが、19世紀ロンドンの異常なまでの再現っぷりとあいまって、なかなかの臨場感を味わわせてくれる。
一部実際の切り裂きジャック事件と明らかに異なっていたりするのだが、これはまぁ映画を面白くするための脚色の範囲だろう。他は偏執的に史実に忠実だし。って、そもそもムーアの原作はそのへんどーだったんだろ? どっちにしても、前に観た名探偵コナンのよりはよほど面白い。
「FROM HELL」というのはジャックから送られた手紙の書き出しだそうだ。作中での解題では、ずいぶん現代的な、いかにもアラン・ムーアな解釈が施されていてしびれる。あと、意味なし幻視能力がサスペンス、もしくはミスディレクションの為だけにしか使われてない、ってあたりがまんま京極夏彦で笑えた。