名探偵コナン ベーカー街の亡霊

コナンのアニメは始まった頃、推理物としてのレベルを知るため数回観たキリなワケだが。はっきり言って、今回の映画はまるでベツモノ。たぶん、コナンですらない。
脚本は野沢尚。俺にとっては前にNHKで『喪服のランデヴー』を映像化した男だが、アレも原作とは全然別の社会派テーマ(学生運動ね)を中心に持ってきていて、それはそれでうまい具合に纏め上げていた。
っつー事で、今回は19世紀末をテーマにして名探偵コナン野沢尚にとってコナンなぞはどーでも良くて、野沢流「切り裂きジャック事件の真相」お披露目の場となっている。それにホームズ趣味をたっぷりこってりと効かせ、伝奇ミステリとしてもかなり欲張った構成。
難点は、それ(切り裂きジャック、ホームズ関連)以外の部分。社会派っぷりが子供相手にカラ回りしてるのも痛いし、肝心の殺人事件がなんだか小さいし、そもそも殺人事件とVRゲーム2つの別々の話に関連が(ほとんど)ないし、野沢流「事件の真相」のエクスキューズにもなっている話の入れ子構造を提供する少年のエピソードがもうグダグダ。終わりに至ってはコレ一体なんの映画だったのかと。大体、コナンがVRゲームに入る理由が、出てくるときには他人によって解決されてるし。
容疑者を全員集めて犯人を指摘するシーンは、たぶんTVでもおなじみなんだろーが、野沢尚も確信を持ってやってるのが笑った。やっぱみんな、名探偵のこーゆーシーンが書きたいよねぇ。
次はアラン・ムーア流「切り裂きジャック事件の真相」が観られるらしい『フロム・ヘル』を借りてこよう。