桐島、部活やめるってよ

なんとなくいい評判が伝わっていたのでおっかなびっくりで鑑賞。いやー、これツライわ。特に学生時代、映研、文化部、創作系オタクだった観客は全員容赦なく心に傷を負ったんじゃないかと思う(笑)
原作は未読だが、この作品でクローズアップされているのは現代の高校におけるスクールカーストだ。日本でここまで赤裸々に、痛々しくリアルなスクールカーストを描いた作品が登場したことに驚きを持って鑑賞した。
自分も学生時代映研だったので、この作品内で特権的な位置に置かれる*1もののカースト最底辺である映画部に対する容赦ない弾圧と、ちゃんと反撃できないコミュ障っぷりとに涙を禁じえなかった。あの理屈をごねまくって共感をそいでしまうあの感じ、昔(もしかしたら今も)の自分を見るようで心が痛い痛い。
そして、一風変わった美少女とお近づきになれるかも?というファンタジーを挿入しておいてあの仕打ち。この作品の製作者たちは本当に性格が悪いし、自分たちが何を作っているか本当によく理解している。
一点、映画部部長の神木君が美少年すぎて、性格的にはどこまでも非モテだけど、彼がスクールカースト最下層にいるのはちょっと不自然に見えた。真の主役、東出君に映画の話をするクライマックスはもはやメンターの佇まい。
この映画を観て、大人になって(学生時代を脱出できて)良かった、と心底思った。創作で青春を浪費してしまったオタクと、自分で「居場所」を作れない学生時代の息苦しさを知る、すべての人におすすめ。

*1:これはもちろんこの作品が「映画」であり、映画製作者たちの自己投影でもあるからだろう