X-MEN: フューチャー&パスト

なんと、X-MEN3の続編にして、X-MEN: ファースト・ジェネレーションの続編でもあるという凝りに凝った一作。しかもちゃんとそれぞれの役者が再登板しており、中でも、若きプロフェッサーXが未来の自分と邂逅するあたりの、長年続いたシリーズの厚みが生み出す感動はちょっとアメコミ映画として類を見ない。ターミネーターばりの歴史改変SFとして、これまでのストーリーを余さず拾ってかつ発展的なハッピーエンドとして再スタートさせるという、もうなんか超絶技巧の塊みたいなストーリーテリングに大いに唸らされた。いやー、やっぱブライアン・シンガーはすごい。シンガーがここれほどまでのSFマインドの持ち主とは知らなかったよ。
今回、ファースト・ジェネレーションのマシュー・ヴォーンは監督ではないがストーリー制作には関わっており、ちゃんと前作の青春ものっぽいテイストもきちんと残り、そのややムラっ気のあるチャールズ・エグゼビアが、未来の自分=沈着冷静なプロフェッサーXになるまでの成長物としても観れる(しかも他のキャラにおいてもそう)という非常にオイシイ作品となっている。歴史モノ、ifモノとしてのシンガーらしいこだわりも満足のいく出来栄えで、これほどまでに欲張りな要素と多くのキャラクター、長い時間軸を操りながら、まったく観客の心を淀ませない作劇に円熟したシンガーの匠の技を感じる。
じゃあお話ばっかの頭でっかちな作品なのか、というとこれもさにあらず。主役のわりにいまいち活躍できてない(アダマンチウムの爪もない)ウルヴァリンに代わり、そう、あのクイックシルバーが大活躍!
マトリックス』以来の高速度撮影をほとんどギャグすれすれのバカカッコ良さで演出したキッチンのシーンなんかは本当に痛快で、これを見ると↑のアベンジャーズクイックシルバーがなんであんなに印象の薄いキャラクターだったのかと首をひねってしまうこと請け合い。ネットでよくみるコラ画像「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」を思い出した。今後もぜひ活躍してほしいキャラクターの一人。
ブライアン・シンガーとマシュー・ヴォーン、この二人が関わってるX-MENは本当に面白い。次回作はちゃんと映画館で観たいなぁ。