メイズ・ランナー

とりあえず謎だらけな世界に主人公を放り込み、キャラクターを順次紹介したら、世界の秘密をチラチラ見せつつ殺し合いをしてもらいましょう!
…というフォーマットをいったい誰が始めたのかはもう定かじゃないが、とりあえず洋の東西を問わずこのフォーマットは人気のようだ。本作もご他聞に漏れず、そういったイマドキの箱庭ぶっ殺しショーケースものの忠実なフォロワーとなっている。
こういった中学生向けの作品の場合、特に女性客を見込んでイケメンや恋愛要素がたっぷりと添加されるのが世の常だが、本作の場合、イケメンはともかく恋愛要素はほとんどない。主人公補正で美少女がオマケでついては来るものの、男ばかりの世界に美少女が放りこまれた割に特に下世話な展開もなく、それらしいラブシーンもない(3部作なので取っといてあるのかも知れないが)。本作が意外にホコリっぽく、ざらっとした感触を与えるのは、『進撃の巨人』まんまな迷路のビジュアルのみならず、そういった一種不感症的な、ドライな感覚にもあるのかもしれない。
ところでいま書いたように、本作は『進撃の巨人』と「未知の敵から身を守るために巨大な壁に囲まれた閉鎖空間に暮らす人々」という設定を共有している。高い壁がそそり立つビジュアルも相当に似ている。少なくとも監督は、進撃〜のマンガかアニメは見ているのではなかろうか。その意味でも、若者向けの作品なのだろうと思える。
驚いたのは、タイトルである「メイズ」自体の謎をけっこうあっさり解いてしまったところ。最近、謎の解決をぶん投げる作品に立て続けに接していたせいか、もはや陳腐ながらもちゃんと世界の謎を明かしたのには本当に驚いた。汚れた大人ですいません。
3部作の一作目、というわけで謎の一部はキャラクターともども次回に持ち越し。
映画観たあとの帰り道で、3部作のラストはどんなジャンルになるかを話し合った。とてもとてもゲームっぽい映画で、今回は迷路アクションで、次回はサバイバルホラーらしい。ということは、3作目は人類を絶滅から救う移民宇宙船でのバトル、もしくはそもそもをなかったことにするタイムリープものになるんじゃなかろうか、というのが自分の予想。どうかな?