電人ザボーガー

↑で奇しくもノーランについて書いているが、こちらも「往年のヒーローを現代に蘇らせた」リブート企画。もちろんこちらは予算比でたぶん1%か2%くらいの低予算映画なので画的な密度は期待できないが、その分、リブート企画において何が重要で何が重要でないか、を考えさせてくれるいい教材となっている。
内容的には、ノーランの『バットマン・ビギンズ』前半部と『ダークナイトライジング』をコンパクトにまとめたような2部構成になっており、ヒーローの再生においてそのヒーロー稼業自体を明け渡してしまう『ダークナイトライジング』に比べ、本作の出した回答はもっと頑固で強靭だ。それをアナクロとわかっているからこその、この70年代まんまなデザインであり設定なのだろうと思う。
この企画自体はキングレコードの大月Pの発案だそう*1だが、X-MENでアメコミヒーローをリアルなものとして定着させ、続いてスーパーマンの再生に悩みに悩んだブライアン・シンガーダークナイト3部作でなんでもリアルにすればいいと考えて調子に乗ってるクリストファー・ノーラン、009をノーラン風にしようとしてしくじった神山健治、そしてもちろん『ダークナイトライジング』の見事本歌取りを行った007『スカイフォール』のサム・メンデスなど、「ヒーローの再生」が同時多発的に起きている現代、井口監督は本作でまた新たな切り口を示せていたと思う。何はともあれ、「電人ザボーガー、ゴー!」からタイトルシーケンスと菊池俊輔節は痺れるので必見!

*1:ちなみに大月Pはやはりレトロヒーローのリブートである『鉄人28号 白昼の残月』の企画にも関わっている