日本SF展 SFの国

ちょっと前に世田谷文学館でやっていたので。ということで、世田谷つながりなのかどうか、星新一小松左京手塚治虫真鍋博に大伴昌司、という、よく言えばバラエティに富んだ、わるく言えば闇鍋的なメンツを並べて日本SF史を俯瞰しよう!というなかなかにムチャな企画。
とはいえ、星新一小松左京という短編、長編の両巨頭を押さえているので、ちゃんと日本SFのメインストリーム感は出ていた(手塚治虫はちょっと借り物感があったけど)。今回が初公開だったらしい、小松左京の『日本沈没』を読んだ半村良が感極まって小松宛に書いた手紙*1とか、入り口にある問答無用にマニアックなとり・みきのアニメとか、雑多なところが却って当時の日本SFの熱気を感じさせてくれ、狭い展示ながらも十分に堪能させてもらった。
今回家族で行ったが、他の来場者は自分よりちょっと上、50歳くらいだろうか、ちょうど子離れしたくらいの世代が多かった。当時の日本SFのファン層がそうなのか、けっこう男女比が拮抗していたのにも驚き。娘とかみさんが退屈しないかと思ったが、娘はシールがもらえる館内スタンプラリーで、かみさんは創元SFのコーナーにあった武部本一郎の「火星」シリーズの原画で、それぞれなんとか興味が持続できたようで、主催者のバランス感覚に感謝。またこういう企画があったら足を運んでみたい。

*1:これ、作家としてぶちのめされ切実に嫉妬した、と吐露するくだりとか、小松とは別路線で勝負するしかない、と自分に言い聞かせるようなあたりとか、創作者のナマの懊悩に溢れていて素晴らしい。