アナと雪の女王

CGアニメの最先端を走るディズニー/ピクサーだけに、めんどくさい雪のパーティクルもクロスシミュレーションも何でもござれ!というサーバー至上主義的な暴力的パワーに溢れたミュージカル。
その迸るパワーは他を圧倒する画質や大ヒットした音楽にとどまらず脚本にまで及び、ジョン・ラセター体制後のディズニー・プリンセスはあらゆる意味で男性に依存しない!と高らかに宣言する*1びっくり映画でもあった。音楽に釣られてDVDを観たうちの娘(9歳)はあんまりヒドイ展開でギャン泣きですよ。
この映画における基本的なコンフリクトは姉妹の関係で、アメリカだとX-MENあたりで何度も何度も描かれている超能力者と普通の人間の和解はあるのか、みたいな構造なのだが、マグニートー化するエルサは実は徹頭徹尾変わっておらずひたすら妹のことを慮っているのであって、実はコンフリクトの真の正体は「運命の出会いを待つプリンセスストーリー」そのものであったのだ!ばばーん!…という、なんともアンチ・ディズニープリンセスなテーマを、本作は隠し持っている。その意味で、テーマをおおっぴらにして以降ミュージカル・ナンバーがほとんどなくなるのもむべなるかな。パターンの本家本元がそのパターンの解体、再構築をやってのける、という点では近年の『ダークナイト』『007/スカイフォール』と同様なので、するべくして大ヒットした映画、なのかもしれない。日本で売れたのは正直言ってよく分からんけど。

*1:それまで、映画的ディズニー的ベタな「おやくそく」を積み重ね、暖炉の前でのキスシーン、と思わせてまさかの!…というあたり、なかなか根性がひねくれてて好感が持てる