メイキング・オブ・カウボーイビバップ レックレス・プレイヤーズ

往年のアニメ『カウボーイビバップ』のメイキング本。
本編の脚本にも参加している佐藤・「キャシャーン」・大*1がインタビュアーとなり、各スタッフに話を聞く、という構成が面白い。
特に興味深かったのは、シリーズ構成の信本敬子との対話。
各話参加の脚本家と売れっ子のシリーズ構成、というヒエラルキーが生み出したのか、師弟関係のような、姉弟関係のような会話がほほえましい。
台詞と演技で作品の空気感を醸成したい信本と、設定にも参加し作品世界を規定したつもりだった佐藤とのややかみ合わない会話は、なるほど、カウボーイビバップという、一見SFチックなんだけど実はものすごいクラシックな人間ドラマ、というパッケージングと正しく呼応していて、作品の秘密の一端に触れた感がある。
あと、カルト的な怪人としてスタッフに何度も言及される河森正治の異様な存在感*2とか、その河森含め、今掛勇、佐山善則と、名うてのメカデザイナー山根公利以外に3人も、このまったくメカに脚光の当たらない作品に参加しているのが興味深い。
この本の出版後に制作された映画が微妙な反響だったこと、この2012年になっても渡辺監督のビバップ後の監督作がやっと3本目なこと等々を含めて、あの当時、まさに彗星のように現れた『カウボーイビバップ』という作品のナマのライブ感を堪能できる本だった。
あと余談。
佐山善則エニックスの『ザース』製作者の一人だった、というのは意外だった。そしてFFザムービーの話、それをインタビューしてる佐藤大も『パルスマン』や『エースコンバット3』でゲーム制作に参加してる、というあたり、で、2000年前後のアニメとゲームの接近具合とその後の断絶を感じたりもした。

*1:ちなみにこの本が出たのはキャシャーン制作のはるか前

*2:スタッフ編成的には佐藤の同僚でもあるはずの河森インタビューがないのは残念