REDLINE

いやーじつにスゲェ、天才が本気で作った「モノホンのバカ映画」。

暴力的スピードとひっきりなしの爆発、無駄にエロ、突発的に挿入されるヤマトやルパンやナウシカなんかの意味なしオマージュ。
「コマあたりの情報量×単位時間あたりの情報量」で考えると、これほど画面密度の濃い映画ってちょっと思いつかない。それでいてほとんど内容はないから、純粋に「画圧」「音圧」だけで100分を持たせ切ってしまった。

でこれ、一昨年のやっぱりコミック風レース映画の怪作『スピードレーサー』によく似てる。画面の異常な作り込みとスッカスカな内容、スピードと色彩と爆音の洪水。
『スピードレーサー』は『マッハGO!GO!GO!』のハリウッドリメイクだったが、こちらもアメコミ風の絵柄含め、かなり『マッハGO!GO!GO!』っぽい…というか、こちらも明らかに「タツノコっぽいデタラメさ」を意識してると思う。これぞ日本のアニメ。

いかにも石井克人らしいヘンな人物やコネタもアニメの力で観てるだけで面白く、変キャラ、変兵器、変ガジェットがこれでもか! という具合に矢継ぎ早に投入されるが、あとから「解説者」(レースだからね)が解説してくれるから無問題とばかりにレースはひたすらエスカレート。
「ロボワールド」というよく考えたらこいつら被害者じゃね? という凶悪サイバー軍事国家はほとんど「レースだけだと画面が持たないし爆発ももっと欲しいし」という純粋に「画的な都合」のためだけに奉仕し、妨害工作エスカレートする一方。
衛星兵器と生物兵器と超空間移動と魔法(!)が入り乱れ、コース上には銃撃とミサイルが飛び交い、路面は爆発し崩落し、クルマはロケットを噴射し宙を舞う。レース映画なのに運転テクニックの話もほぼなし。もうムチャクチャ。意味わかんない。

ほとんどのシーンが「このほうがキモチイイし」という快楽原理に忠実に作られてるので、「眼福」度はほんとハンパない。たしかに浅野忠信はヘタッピ(蒼井優はかなりいい)だけど、このクレイジーなアニメがこのままひっそりとカルト映画化するのは勿体ない。観れ!