フェイクシティ ある男のルール

エルロイ原作らしく、いきなり腐敗刑事のぶっ殺しショーからスタート。
当初、なんかリアルじゃないなぁ、なんだこの世界観? と思ったが、ストーリーが進むにしたがって理解した。
つまり、こーゆー「暴力と犯罪が日常とまったく同化した世界」こそが本作の「リアルな」LAなのだ。
登場人物みなが呼吸するように暴力をふるい、挨拶がわりに銃をぶっ放し、悪そうなヤツは普通に犯罪者で、すべての飲料は酒。会話は罵倒とか恫喝とか嘲りとかばっか。そして名台詞「今週の容疑者は来週の被害者だ」。すげー世界観。LAこわいよLA。
この世界観が慣れるとクセになる。
普通の会話ができないと思った瞬間から電話帳でガッコンガッコン殴る主人公と、毛ほども重くない登場人物の命が、ある種とてつもなくドライな恍惚感を与えてくれ、ストーリーの進行と完全にシンクロした暴力のエスカレーションが映画に破滅へのベクトル感覚を与えてくれる。
こりゃ、完成度とは関係なく、傑作といえるだろう。エルロイと並んで『リベリオン』監督・脚本のカート・ウィマーが脚本にクレジットされてるが、特にらしさは感じなかった。とにかくエルロイ的LA空間に浸る映画だ。ひとには勧めない。
それにしても、こーゆー暴力が日常と普通に同化してるよーな世界はやっぱ日本人にはちょっと作れないなー、と思わされた。暴力ゲーム作者は必見。