アバター

21世紀初のキャメロン作品にして、「21世紀型見せ物映画」のスタンダードを示す一作。ある意味、リュミエール兄弟のレベルまで映画を引き戻した、次なる100年のファーストステップといえるかも。観てる間、『パンツァードラグーン』が無性にプレイしたくなったよ。
3D吹き替え版を観たが、吹き替え用字幕が相当に見にくく、普通の字幕版だったら耐えられなかったかも。立体視と吹き替えの相性についても考えさせられる。
映像はホントよくできていて、立体効果もうまくポイントポイントで見せるよう、かなり計算されていた。異世界冒険ものの体裁を取っており、メカ、フリークス、恐竜、奇岩、雄大な自然、爆発に崩壊にダンスに暴力に、と見せ物小屋としてめっちゃ優秀。映画版ナウシカをはじめて観たときの感覚によく似てて、現にかなりの部分、実写CG版ナウシカでもある*1
お話はテーマがどーとかまったく気にならないパッチワークで、まぁハリウッド流異国スピリチュアル映画のテンプレ展開を、キャメロンお得意の恋愛とバトルでこってりと味付け。バローズ火星シリーズ的出たとこ任せな「こまけぇこたぁいいんだよスペオペ」を、ジョー・ホールドマンの『終わりなき平和』のテレプレゼンス・ロボット兵士の二重生活構造を使ってそれっぽくした感じ。超わかりやすいMATRIXともいえる。

この映画、キャメロン・フィルモグラフィの集大成にもなってて、

とまぁ、ホント変わってない。
そして依然、本気の厨っぷりも健在で、「『地獄の黙示録』と『ロード・オブ・ザ・リング』を戦わせたら超面白くね?」みたいなガキっぽい発想が大金かけて現出する瞬間に痺れた。やっぱマイケル・ベイとは年期が違う。
そしてもちろん、強い女がいっぱい。男で意志と力と才能、行動を兼ね備えたキャラが主人公と悪役しかいないのに、女はみんな兼ね備えてる。これぞまさしくキャメロン印!

DVDで観てもただのクソ長いCGアクションなので、観るなら映画館がオススメ。特に3D吹き替え版。

*1:とかいって、ガイア思想丸出しな舞台設定のワリに、宮崎駿が激怒しそうな展開なんだが