マイ・ボディガード

またデンゼル・ワシントンですよ。ていうかアレか、これのトニー・スコットの紹介で兄リドリーがデンゼルを起用したのが↑の『アメリカン〜』なワケか。
閑話休題
クィネルの『燃える男』が原作、ということで、これもまた、「ボーン」=『暗殺者』の思わぬヒットから出てきた企画のよーな気がする。『ボーン・アイデンティティ』という原題マンマもどーかと思うが、しかしそれにしてもこの邦題はどーにかならんのか。脚色はブライアン・ヘルゲランドで、やっぱりねちっこい処刑シーンとかがヘルゲランド風味。つーかあんな終わり方でいいのか? あんまり脚本を云々するタイプの映画じゃないとしても。
どんどん重量感を増す兄の演出に反発するかのように、本作のトニー・スコットの演出は目まぐるしい。たぶん、フィルムのデジタル化によって、もっともスタイルを変化させた監督なんではないかと思う。ブレまくりのオーバーラップ。フラッシュ、カラーバランスいじり、コントラスト変化、モノクロ他各種フィルター、ポストエフェクト。急激なズーム、スローと早回しが混濁する矢継ぎ早のカッティング。そしてまるでコミックのよーに自己を主張する翻訳字幕。やりすぎ。これ、映画館で観たらぜったい目がチカチカするな。トニーの映画を最前席で観ると死ねそうだ。
なんだろなー、誘拐のシークエンスとか、非常に映画的(映像のモンタージュだけで語る)なシーンがある反面、爆発背負って歩き出すキメキメなカットに音楽乗せるとかの場違いな演出とかのせいで、やっぱり一本の映画としてはあんまよろしくない印象。それにしても、同じ「映像派」「CM出身」っつっても、いまやトニーとリドリーってぜんぜん別の個性になってるなー。映像のみならず、音楽演出だけでももうどっちだかわかるほど特徴が分化されてきた。『ハンガー』もずいぶん遠くなった。