アイアンマン

こんなバカ映画ひさびさに観た!(←褒め言葉)
「アイアンマン・ビギンズ」としては、これ以上ないくらい理想的な仕上がりじゃあなかろうか。登場人物や観客に突っ込む暇を与えず、ホイホイとシーンを切りまくり、どんどんストーリーを進める脚本・演出のテンポの良さ、どーみても性格がマンガな人なんだけどギリギリ生身に見える達者な役者(ていうか今回の悪役はジェフ・ブリッジスなのな)たちのアンサンブルは、近年なかなかお目にかからない完成度。バリバリのCGアクションにぜんぜん負けてない。映画の緊密度と完成度では『スパイダーマン』越えたな。
ところでその『スパイダーマン3』のときに、

なんかアメコミヒーローの社会性を抉るのがDCヒーローの映画化、その社会性の欠如も含めて再現するのがマーベルヒーローの映画化、みたいな法則ができつつある様な。

http://d.hatena.ne.jp/SiFi-TZK/20090419

と書いたが、本作もその路線をきっちり守り、またしてもすんごいスケールの小さい人間関係が、スペクタキュラーな大アクションと並行で描かれてる。ていうかそもそも、マーベル初の自社製作映画だそうで、その意味でもマーベルの意向が強く反映された作品といえる。まぁ、ヒーローコミックとしてのアメコミ産業を考えるなら、妥当な戦略ではあるんだろう。そうすると、ブライアン・シンガーのDCヒーロー移籍さえ必然に見えてくるから不思議だ。
ラスト、あの一言で〆てしまうのも「アイアンマン・ビギンズ」として秀逸。それだけに、こっちは『ダークナイト』みたいな突然変異はしないだろーなー、と安堵のような物足りなさのような感情を抱いてしまった。