ルネッサンス

気になってた『RENAISSANCE』をようやっと。

シン・シティ』と同じく、シルエットを偏愛する俺のよーな人間にはたまらん映像。
カメラワークがとっても重要な作品で、正直、カメラが動かないと何がなんだかわからないシーンが多い。画面がほぼ白・黒の2値しかないので、動きで情報量を補完している感じ。光学迷彩エフェクトなどは、それを意識的にガジェットとして取り入れてる。

白・黒だけの映像にこだわった弊害で、画面すべてにフォーカスのあった、立体感に乏しい画が多い。ただでさえ背景とキャラの見分けがつきにくいので、かなり脳を酷使する映像といえる。好きだけどね。

内容は日本伝統の科学探偵アクション。鉄人28号とか、『ブレードランナー』とか、あーゆーの。声のキャストにジョナサン・プライスだのイアン・ホルムだのが起用されているところを見ると、『未来世紀ブラジル』に相当影響されてるのかも。ちなみに日本語吹き替えは朴ろ美とか平野綾清川元夢とかアニメ声優のオンパレードなので、字幕で見るよりアニメっぽく見える不思議。

パリが舞台のクセに、キャストがイギリス人ばかりの英語作品なのだが、そのテイストはものすごくフランス映画っぽい。情愛でばっかり動く感情移入できないキャラクターとか、バイオレンスが微妙にウェットだとか、大ネタを使ってる割には意外とどーでもいいストーリーとか投げっぱなしの終わり方とか。『ニキータ』とか『ドーベルマン』とか、特にゴダールの『アルファヴィル』とか。フランス人の撮るモノクロ科学探偵映画、という意味では、21世紀版『アルファヴィル』といえるかも。

未来世界のガジェットにはイマイチ新味がないが、地下道?のガラス張りの階層構造は良かった。上に逃げた敵が下に銃をぶっ放すと上の階は(銃声が聞こえるから)みんな逃げるけど、下の階は何が起きたかわからないとか、映像的にも、チェイスシーンの設計的にも面白い。
オチの身も蓋もなさを含め、エンタメとは別のベクトルでクセのある映画なので、俺のような特殊な性癖の持ち主なら。