冷食捜査官1

既に持ってる「黄金三角〜」なども含め、ひさびさに堪能。
しかしこれって実は、とり・みき史上もっともウェットでウェルメイドなマンガかも。もちろん『DAI-HONYA』含め。それほどまでに、意識的だと思うが、犯人たちの「動機」は総じて感傷的で、かつ陳腐だ。
過剰な「感情」の発露を嫌う作者がそれでも表現したかった感傷が、この屈折しまくったシチュエーションでしか描けなかった、ということなのだろうか。ある種、ありとあらゆるマニア、オタクに対する、ギリギリの共感を含んだ鎮魂歌にも読める。
描かれた年代が実に20年近くに渡っているためか、まとめて読むと意外とテイストに一貫性がない、というか、バラエティに富んだところがあって面白い。少なくともこのシリーズに限っては、得意のパロディやナンセンスのつるべ打ちは(ストーリーが止まってしまうため)相性が良くないようだ。これを境に長いブランクに入る「寒い穴から帰ってきた捜査官」が特に顕著で、だいたいこのサブタイだけ著しく元ネタから語呂の良さが失われてるし、明らかにレベルが落ちる印象。
あとそろそろ、階段と乳母車の関係ってわかんない人のほうが多くなってる気がする。

「1巻」とあるが、2巻が出ることってあるんだろーか。