クローバーフィールド

なんと予算が3000万$弱だとか。なんとも低予算で売り抜けた、ワンアイディア怪獣映画。
9.11以来一変してしまったアメリカ人の世界観を直球で料理したオリバー・ストーンの『ワールド・トレード・センター』、ポール・グリーングラスの『ユナイテッド93』といった2006年を踏まえ、2008年型の娯楽映画として咀嚼したのが本作だろうか。2005年のスピルバーグ版『宇宙戦争』の完全版、にも見える。
こちらも、2007年の映画である『ノーカントリー』同様、「コミュニケーションの取れない絶対悪」としての怪獣が描かれ、その出自を含め、一切の情報を与えない演出*1が、この暴力的な映画にリアリティを与えている。ていうか、この映画のリアリティってほんと、出歯亀的リアリティなんだよな。出てくるのも、どいつが死んでも悲しくないバカかクズばっかだし。徹底して人間を突き放した映画をデートムービーとして成立させる戦略として、相当の確信犯とみた。
そうそう、『ノーカントリー』もそうだが、こちらも劇伴がいっさいない。唯一エンディングでだけ「怪獣映画」を存分に主張する楽曲を持ってくるとか、いちいち手が込んでる。そこまでやって、なんでHAKAISHAなんだ。はかいしゃはどこだ。

*1:つまり、9.11がどこのテロであるかわからなかった頃の圧倒的不安の再現