時をかける少女

録画してたのをいまごろ。うーん、相変わらず細田アニメはなにもかも理詰めだねぇ…。「痛みに耐えて<選択>せよ」っつー、イマドキのテーマを、まさか40年も昔のネタを使ってここまで料理するとは!
前半はある種の青春ファンタジー*1で、主人公は、言ってみれば「アニメの世界の人」なのだが、後半は作品のトーンが変わってSFチックになると同時に、主人公の造形が俄然、現実味を帯びてくる。
ここをクライマックスに持っていかずに、「その先のクライマックス」まで描くことで、大林版を抜き去る計算高さを感じる。原作や大林版への目配せは尋常ではなく*2、いちいち「そう来たか!」と唸らされまくり。プロットをほとんど踏襲したまま、別テーマを語りきったのも凄い。モノスゴイ意地悪な見方をするなら、細田守という才能を使って、角川歴彦が兄貴の実績を全力でぶっ潰した、とも言える。
それにしても、なんで芳山和子役は原田知世じゃねーんだ。あとSF的に1箇所、意識的にごまかしてるのもちょっと。

*1:大林版は全編が青春ファンタジーだったが。

*2:そのせいで、「で、誰向けなのコレ?」という疑問も感じなくはないが、まぁ、若者とオッサン、両方なのだろう。