白波五人帖

もとが歌舞伎ということもあり、文体が後年の『八犬傳』を思いだす。構成はいつものウールリッチ調、忍法帖でいうなら「風来」に近いか。主人公たちが一人また一人と脱落する例のパターン。「面白倶楽部」に『甲賀忍法帖』の直前まで連載されていた、というだけあり、かなり似た設定、人物が見られる。まだ『くノ一忍法帖』に見られるナンセンスは見出せず、山風三大娯楽要素「エロ」「グロ」「ナンセンス」の完成(というか調和、か)は、忍法帖でなされた、と思われる。