ゲームデザインwiki

クラマーの「よいゲーム」基準にも、さらに踏み込んでみる。この日記で何度も出てくるコレ。

http://www.tgiw.info/etc/factor.html
何がゲームをよいゲームにするか

今回の注目点は「2.何度もできる魅力」と「8.適切な待ち時間」の2点。
2は、たいていの場合「提示される<状況>がプレイのたびに異なる」ということ。もちろん「提示される<手段>がプレイのたびに異なる」でも実現できるが、今度は「14.ゲームの習得しやすさ」を損なうことになる。TVゲームが飽きられるようになった原因の1つは、<状況>の変化を歓迎しない、確実な褒賞を目当てとするプレイヤーに対して、メーカー側が迎合し過ぎたことにあると思われる。
で8。こちらはゲームルールに適応される時制と直結しているが、かなりUI(入力デバイス含む)に左右される部分でもある。1フレーム単位で<状況>が変化するSHTでは、例えば2方向レバー+1ボタンのハードであれば、プレイヤーに「1フレームで」提示される手段は以下の6種しかない。

  • 右移動(レバー右)
  • 左移動(レバー左)
  • 静止(レバーニュートラル)
  • 右移動+ショット(ボタン)
  • 左移動+ショット
  • ショットのみ

これが、提示された<状況>がまったく変化しないクラシックなパソコンADVだと話が180度違ってくる。プレイヤーは無限に考えることができ、キーボードから入力するコマンド=<手段>も、また無限に近い。
ここでさっきの例を、2の視点で検討してみる。パターン化された「<状況>変化が毎回同じのSHT」は、「<状況>が変化しないADV」と同じではないのか? と。
答えは、「違う場合もある」となる。ゲーマー用語で「安定しない」と呼ばれる、状況変化に適切に対処できない状態が、弾幕SHTなどでは往々にしてある。これは、そのプレイヤーの実行スキルの問題であり、あるゲームの時制をリアルタイムに設定すること自体、プレイヤーにスキルを要求し、かわりに多少のリプレイバリューを獲得すること、と認識すべきだろう。そしてもちろん、プレイヤーに提示する「待ち時間」と「許される手段の多さ」*1の正比例関係に、スキルの要素もかけ合わせる必要がある。末期UPLや末期DECOのような複雑化したSHTが絶滅した理由もここにありそうだ。

*1:クラマーは「ルールの複雑さ」と呼んでいる