ジャーヘッド

やっと観れた。なんかこんなんばっか観てる気がするが、イギリス人の手になる、「アメリカの戦争」を描く*1映画。
初っ端がまさしく『フルメタル・ジャケット』そのまんまなのだが、アレと違ってどこまで進んでも戦闘はなく、主人公のフラストレーションを観客が共有する、という観客に優しくない作り。作中で『地獄の黙示録』が上映されるのだが、「ワルキューレの騎行」がかかる例のシーンの受け入れられ方がエラい挑発的で、監督の底意地の悪さを感じる。もちろん、間違って受け入れられようもない『フルメタル・ジャケット』は出てこない。
徹底して一兵士の視点から描くことで、「戦争」から「戦闘体験」すら奪ってしまう「現代」と、近代「社会」の倫理と相容れない目的を持つ「軍隊」組織の矛盾とを告発する演出は、上手いが、なにか力がない。サム・メンデスの前作『ロード・トゥ・パーディション』では効果的に使われていた、音や画面のフェードアウト演出が、結果的に本作の持つ、ナマグサさをスポイルしてしまったのではないだろうか。