ぷちナショナリズム症候群

読了。本文は大雑把にいうと「ぷちナショ現象」「エディプス神話崩壊」「まとめ」に分かれるが、それぞれの関連づけが強引で、これまで読んだ香山リカの作中もっとも説得力がない一冊。こう言ってはなんだが、ナショナリズムを過剰に忌避する姿勢ばかりが目立ち、左翼っぽさが臭ってくるのも減点。
個々の項目はそれなりに面白い。自分なりに整理するなら、

  1. ナショナリズムの「記号」が、ナショナリズムと切り離して使われるようになった(=ぷちナショナリズム
  2. 若者は、「父」以外の依存し、のちに超える(もしくは同化する)存在を欲している
  3. ブルーカラーは貧困時にシンプルな変革を求める
  4. 誰かが(本物の)ナショナリズムを煽った際、ぷちナショがその敷居を下げているから、一気に若者、貧困層に広まる可能性がある

こんなところか。
「<切り離し>をせずに、歴史や現代社会と向き合う」*1との結論には大いに賛同したい。*2まだ芽の段階だが、できるなら仕事としてやりたいところ。

*1:<複雑さ>の解釈を自分に引き受ける、ってことでもある

*2:そう言えば、最近の宮台真司が称しているという「あえてするナショナリズム」って香山リカのいう「愛国ごっこ」に非常に近しいような。本人たちは全然別のつもりだろうけど