アイ,ロボット

おいおい、最初に三原則振っといてあっさりソレかよ! とアシモフ先生も草葉の陰で御立腹のSFアクション。
監督のアレックス・プロヤスは『ダークシティ』で「うる星やつら」じゃない『ビューティフルドリーマー』をやってのけた男で、今回もロボットにゴースト(魂)が、とか、まぁたオシイ信者が目くじら立てそうな題材。だが、そんなことは気にせず観れば、これがまた(『ダークシティ』がそうだったように)結構面白い。随所に見られる『ブレードランナー』へのリスペクト、『未来世紀ブラジル』『ロボコップ』『ターミネーター』なんかへの目配せが楽しいし、なにより、薄い設定と主人公のノリに代表されるB級感覚が堪らねェ! たぶんバジェット一億ドル級の超大作のはずなのに、コレどっからどこみてもB級バカ映画だよ!!
だが、それがいい!! プロヤスは「オイオイ、いまどきそんなネタを大上段に振るうなよ」ってほど風化しつつある素朴なSFネタを、大マジかつ全力でやり切ってしまう天然っぷりと、そこに何の迷いも衒いも見せない潔さとを持つ、大いなるコドモなのだ。大人になってしまったティム・バートンよ、『A.I.』『マイノリティ・リポート』でSFを汚すスピルバーグよさようなら!
50年代そのマンマのセンスを持つ鬼才アレックス・プロヤス、次は時間テーマあたりでなんかやってくれんかな。またなんかソレっぽい名前担ぎ出すとかして。