ローレライ

ビデオで観ると、艦内の画面が明るすぎるのが気になる。あと、海上CGの違和感があんまりない。
小説を読んだあとなので、構成が上手くまとめたなー、と思う反面、やっぱまだ切れる(=無駄な)ところはあるな、と思った。まず清永、次に副長、アメリカ側の視点、そして浅倉の動機、最後にパウラと行人の関わり。特にパウラと行人の関係はあまりに踏み込み不足で、彼らは別に主人公でもないのに無駄にシーンを費やした挙句、なんか漠然と退場してしまう。この構造は浅倉にも言え、その意味で、映画『亡国のイージス』は『ローレライ』より優れた脚色だった*1ように思う。どうせこの時間では描けないなら切っちまえ、という発想が脚本家に足りなかったのではないか。
演出に関しては、やはりカット、シーンの余裕のなさが気になる。上映当時は尺の関係だと信じ込んでいたが、冷静にみると、やはり監督のドラマ演出の不慣れゆえ、という気がする。樋口真嗣は、もっとドラマ部分でテンションを引っ張る演出を覚えた方がいい*2
あと、本作の魅力はやっぱ福井晴敏と役者の力が大きいと思った。演出的にヤバイところでも、いい台詞で相当救われている。

*1:とは言え、アレはアレで不満も多いのだが

*2:もちろんアクション演出はいまだに邦画最高峰のテンションだと思う