現代イスラムの潮流

読了。後半はイスラムという宗教そのものではなく、現代のイスラム文化圏がどのような問題に直面し、どう行動したか、また、その行動と信仰のかかわりとは、など、現代の中東問題を独自の視点から解釈した内容で、非常に面白い。曰く、原理主義*1の台頭は、民族自決や資本主義などの欧米的価値観の流入が彼らにアイデンティティーの崩壊をもたらし、それを底辺から救済しているイスラムの信仰に、人々の目が再び向かっている状態である…など。
ただ、現代の日本人はハリウッド映画などでアメリカ的価値観を享受する一方でイスラムの価値観に触れる機会はほぼないので、最近の下流層のナショナリズム高揚と同様に、今後に非常な不安も感じる。

*1:と言っても、最後発の世界宗教たるイスラム教は合理的、実践的な原理を持つため、他の宗教のような狂信めいた性格は薄い