デビルマン

えー。ひとことで言うなら「良くあるダメ邦画」。月曜ドラマランドとPS2のゲームのムービーを適当に繋いで一本にするとこんな感じ? 『キューティーハニー』『ハットリくん』のあとにこれってことは、『キャシャーン』は単なるプロローグに過ぎなかったようで。
原作知らないとまったくわからない構成グダグダ脚本、スケールの小さな演出、原作無視なエンディングなど、まー言ってしまえばいちいち突っ込むのも野暮なレベル。
この映画のダメダメ感が「良くあるダメ邦画」をこえて異常なのは、やはり役者のせいだろう。二枚目の明、了ともスチル写真ならそこそこイメージ通りだが、動いたり喋ったりした瞬間にすべての魔法を解いてしまう。冨永愛もいい勝負。お前らまとめてザンスの主人公か。
CGもそこそこがんばってるが、どうもカメラが寄りすぎ(コストの関係であまり多くの物体をレンダリングできないのだろう)とか、いかにもゲーム的すぎるとか、カメラワーク(≒演出)がドラマ部分と違いすぎ、とか以前に、パンチ食らったやつが「うあー」「あぅー」とかマヌケな声(もちろん変身前の役者があてている)を出すので、貧乏ゲーム会社が社員声優使って作ったムービーに見えてしまう。VSシレーヌとか凄かった。「せっかくだから」という声が聞こえてきそう。
原作のいいシーンはいくつか使われてるが、全然意味が違っていたり、そもそも構成上必要なかったりする。そして飛鳥了はなぜ指をちょん切る人から突然人類絶滅を企てる人になったのか? 全然わからん。原作の了に「俺は怖い!いつデーモンになるかわからない!」とかいうセリフがあったと思うが、映画の了はそーゆー葛藤がないので、ただの気まぐれなヤツにしか見えない。
そして問題のラストシーン。そもそも『デビルマン』の凄いところってラストの「人間不在の戦い」にあると思うのだが、なぜ人間に希望を持たせて終わりますか? それはアニメ版でしょう。原作ってマンガ版じゃなかったっけ? 豪ちゃん(原作者)なんだか2回もアップで出てますけど、脚本とかちゃんとチェックしてます?
結局、監督のやりたいことはこの原作にはなかったようだ。原作では軽くスルーされるエピソードの主人公たちを、映画のもう一方の主人公にした構成でもそれはわかる。やっすい偽キルビルもいいが、せめて原作のテーマだけは拾って欲しかった。現在『デビルマン』を映画化する理由なんて、そこにしかないのだから。
ちなみに美樹ちゃん死後の展開は、前半のグダグダぶりにくらべればそんなに悪くないです。別に良くもないですが、全部が全部クソってほどでもないので、一応。