スチームボーイ

唐沢商会の『蒸気王』大友克洋バージョンともいえる『スチームボーイ』、劇場は狭いが若者(カップル中心)で一応満員だった。まぁ映画の日だしな。仕方がないので時間をずらして鑑賞。
クリスタルパレス来たー! もうちょっといろんな場所を見せて欲しかったが、やはり資料が少ないせいか似たよーなカットばかりで残念。
スチーム城はあちこちで大怪球フォーグラーを思い出した。なんか2個で発動させるとか言うし、電磁ネットワイヤーならぬ鉄鎖で落とそうとしてるし。フォーグラー博士ならぬロイド博士が理想の科学に対する演説をかましてみたり。
良かったところ。

  • 背景が美しい。マンチェスター、ロンドンともに、ジブリにも劣らない素晴らしい絵を見せてくれる。
  • 作画がゴージャス。さすが24億、あの『彼女の想い出』レベルの(ややうっとーしいくらいの)キャラの演技、やたら描き込んだメカアクションが2時間15分ぶっつづけ。
  • 歯車、ダクト、クランク萌え。大友が今作でやりたかったことって、結局ここ「だけ」なのでは。

あとは全部悪いと言っても過言ではない。特に

  • 脚本が全く整理されていない。いらないキャラも多いし、説明ゼリフばっかだし。
  • 漠然とキャラを追うだけの演出。アクションシーン以外間が持ててない。
  • 中村嘉葎雄が意外にもダメ。台詞のテンポが絵に追いついてない。
  • 音楽が画面に合ってない。ちゃんと入っていないか、先走るシーンが多い。

なんかはかなりヤバイ。
大友映画で致命的なのは「シーケンスのつながりがあまりにも弱い」こと。『MEMORIES』はほぼ全部1シーケンスだったのでまだ問題なかったが、『AKIRA』も、脚本で参加した『メトロポリス』も、結局ラストのカタルシスだけが頼りだったように思う。
大友克洋はこれでもう映画を作ることはない(できない)んじゃなかろーか……。