パーフェクト・ブルー

千年女優』の今敏出世作で、なかなかにエグいアニメ。虚実の入り乱れる演出はこのころから既に全開だったらしい。インターネットの描写などはさすがに古いが、現代の日本を舞台にしたリアル指向アニメはそれ自体が貴重なだけに、この果敢なチャレンジは評価したい。
映画として見ると、感情移入を廃した演出が、視点の乱れた脚本をうまくサイコサスペンスに仕上げていると思う。村井脚本は今演出に比べて相当粘っこく、その相乗効果がこのコンビの味かもしれない。主人公がバカ、とか辻褄の合わないシーンが、とかは計算のうちだろう。ラストがミステリなので『ファイト・クラブ』『氷の微笑』には及ばないが、(作中でも揶揄されてたが)和モノのスリラーにしてはかなり面白い。
欠点としてはオタクの描写がややリアル過ぎ(この内容ならもっとデフォルメした方が良いと思う)なのと、エグい絵ヅラが多い(江口キャラとのギャップが…)こと、基本的に誰向けの映画か明確でない(=人に勧められない)こと、などか。あと、『千年女優』もそうだったが最後の一言は蛇足。内容で十分語ってるのに、そんなにもテーマを一言に集約させたいのかねぇ?
明日は『アメリカン・サイコ』を観る予定。サイコばっか。