ブレーキ・ダウン

最近俺の間で注目株(の割に『T3』は観てない)ジョナサン・モストゥの処女作。見るからに低予算で、まんま『激突!』な設定ながら、まったく異なる極上のサスペンスを提供してくれる。贅沢を言うなら、前半の妻蒸発の謎をあと30分引っ張ってくれたら……。なんか『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のよーな前半後半ベツモノ映画になったかもしれないが、脚本にもそれぐらいのパワーはあったと思う。
脚本には、こないだ観たシンガーの『パブリック・アクセス』にも似た空気を感じる。ニューヨーク派っぽいというか、これもサンダンス系?
演出はヒッチコックキューブリックをふりかけた感じ。サスペンスとしては既に『激突!』より数段格上で、不条理ハイウェイ系(ってなんやそら)では『ヒッチャー』にも比肩しうるのでは。処女作ながら、モストゥはこの時点でかなり上手い。
音楽のベイジル・ポールドゥリスは『ロボコップ』『スターシップ・トゥルーパーズ』でバホやんと組んでる人だが、アクションシーンのみならず、サスペンスにも腕を発揮していて驚いた。パーカッションの使い方が印象的なタイトルから、いかにもヒッチ的音響効果音楽まで、サスペンスの盛り上げにタダならぬ効果をあげている。