妖説太閤記

山田風太郎『妖説太閤記』(大衆文学館版)なんぞを引っ張り出してみたり。
ねねの結婚時の年齢が13歳だったのから逆算して、少女性愛趣味の秀吉像を作り上げた本作。山風長編には珍しい有名人が主人公の作品だが、短編「四分割秋水伝」と同様、人物の解体、再構成が実に巧みで、太閤記を知っていても(いや、知っているからこそ、か?)メチャメチャ面白い。
13歳の花嫁なんていまどきのエロゲーでもそーそーお目にかかれない(需要はありそうだが)ロリコン万歳なお話だが、吉川英治はここに抵抗があって17,8歳とゆーことに「創作」した、と指摘した個所には笑った。そこを変えずに、定着したキャラクターのほうを大胆に変えるのがまさに山風流。『武蔵』の晩年を解体した『魔界転生』といい、山風の吉川びいきは相当なものだ。
それにしても、蜂須賀小六が出てくると大仁田を思い出してしまうのは、TVで昔やってた竹中直人のやつの影響か……?